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PAST EXHIBITION

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​「 宙をゆく。」
松井 照太 | Shota Matsui

2022. 11 / 11 ––– 11 / 28

OPEN 11:00 – 19:00
fri / sat / sun / mon

Past Exhibition

この度、haku kyotoでは松井 照太による展覧会「宙をゆく。」を開催いたします。松井は大学時代に彫刻専攻で学び、子供の頃に好きで集めていた石のことを見つめ直し、現在の作品へと結びついています。彼の採取した石は、サイズや重さ、色味などを総合した感覚的な好みと、偶然の出会いを大切にして選ばれています。美術や表現を学ぶことで、改めて自然物の造形や色彩の美を再確認した彼は、作品で使用する石自体には手を加えていません。また、多くの人が幼い頃から一度は夢見た、空を飛ぶことや浮遊することに彼自身も興味を持ち、「重力」を意識して制作を行っています。彼は、好みの石をアクリル、ガラス、金属など現代の素材を用いて支えることで、身近に存在する岩石の新たな見方を探求し、重力の存在を思考しているのです。

 

本展では、彼の代表的な作品シリーズの中から半平面的な作品「F = mgrsinθ」や立体作品の「F = mg」の新作を発表します。彫刻·立体の作家たち誰しもが意識せざるを得ない重量=重力と物質的制約の中で、彼も石と支持体のバランスを追求し表現しています。

これまでの作品では石が支持·固定された状態でしたが、今回は彼自身初の試みでもあるモビールの作品も発表します。モビールとは、20世紀を代表するアメリカの彫刻家 アレクサンダー·カルダーの作品を1931年に美術家のマルセル·デュシャンが、フランス語の「動き」や「動因」といった意味から助言し作品タイトルとしたことから始まり、現在では動く彫刻·立体作品のことを指す言葉にもなっています。松井のモビール作品では周りの環境に応じて、石がゆっくりと回転します。それはまるで宇宙空間を石が浮遊しているようにも、天体の公転のようにも見えます。

 

様々な鉱物によって構成されている岩石は、地球誕生時からのものや地球上でマグマが固まって生み出されたもの、自然現象の影響から生まれたものなど、果てしない時間を経て、昔も今も人々のすぐそばに存在しています。人類にとって最初の材料とも言われ、太古から様々なものに活用されてきた自然物である石と、現代の人工物の素材を組み合わせることは、人間だからこその創作活動とも言えるでしょう。 素材としての石から始まり、人は石そのものにも価値を見出してきました。ヤップ島の石貨は通貨的に扱われながらも、石の交換を通して、人同士やコミュニティ同士の結びつきを深めるものでもありました。また、珍しい石や美しい石、奇石·怪石などを収集したり鑑賞したりすることは、水石や盆石といった芸術や文化になっています。

本展覧会で、地と宙の間で試行錯誤し、作品として表現する彼なりの石の見立て方から、自然が生み出した美しさや、知っていながらも日常では無意識な「重力」という存在を改めて意識することができるでしょう。そして、今ここに存在する石が、どこでどのように生まれここに在るのか、果てしない時間の中の世界に思いを巡らせる機会になることを期待しています。

 

 

◯ 松井 照太 | Shota Matsui

 

1994年京都生まれ。京都を拠点に制作活動中。2018年京都市立芸術大学 彫刻専攻卒業

主に立体作品を制作する。石の自然美、重さに興味を持ち作品の中に無加工の石をそのまま取り入れる立体作品を中心に制作。最近は室内での石の観賞を広めようと壁掛けの作品を展開。制作において石を観賞する水石のように作品中の石がどう映るかを意識し、伝統や形式のある水石に対して現代のマテリアル(樹脂やガラス等の製品)を使い新たな角度から石を愛でる。

近年の展示に グループ展「ウィルへルミーの吊り板」(2020、京都)、個展「Macguffin - 変転するイメージ -」(2021、東京)

「ATAMI ART GRANT」参加展示 会場:薬膳喫茶gekiyaku (2021、熱海)、アートフェア 「DELTA」ギャラリーhaku kyoto(2021、大阪)

 

※水石…室内で石を鑑賞する日本の文化、趣味。自然石を台座、または水盤に砂をしいて配置して鑑賞する。

 

◯ 作品の価格に関して

石の重量が増すごとに支持する事が難しくなり、作品の制作難易度が上がる。このことからヤップ島の石貨や秤量貨幣を参考にし、作品価格を石の重さで決めることとする。1g あたりの価格は変動する。現在は「 1g = 15円」

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