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CURRENT EXHIBITION

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小見山 峻 | Shun Komiyama
「 call, overhaul, and roll 」

2023. 2 / 23 thu –– 2 / 26 sun

OPEN 11:00 – 19:00
全日作家在廊

Current Exhibition

この度、haku kyotoでは写真家 小見山 峻による約4年ぶりの写真集『call, overhaul, and roll』の出版を記念して、展覧会を開催致します。効率の良さが圧倒的正義になりつつある現代社会の中で、小見山は「迷う」ということのポジティブな意味を追いかけています。「ならば迷うだけ迷ってみせよう」という決意のもと彼は横浜の自宅から札幌まで、バイクに跨り、彷徨い寄り道を繰り返しながら走り抜けました。このロードトリップの一部始終を写真集として総括しています。閉塞した社会からの脱出、死別した親友への葬い、徹底的な物理的孤独への願望、そしてバイクだからこそ感じられる風の肌触りへの欲求…様々な感情に後押しされ飛び出したこの旅は、写真家ではなく一人の人間としての逃避行であり、決して撮影をすることは目的としてはいませんでした。結果、記録として残していたこれらの写真たちは、これまで以上に純粋な好奇心を浮き彫りにするものたちとなっています。粛々と積み重ねられてゆく旅の景色に、音楽家TAIHEIによる書き下ろし楽曲が添えられ、本展でもBGMとしています。作品から見える彼の視線は迷いながらも、日常的な何気ない場所にある宝物を探しているようでもあります。そこに存在しているものを拾い集めながら彼が通った道が、確かにここに在るということを本展を通してご覧いただけると幸いです。

 

 

いつの間にか、道を間違えることや遠回りすることを悪手かのように避けてばかりの毎日になっていました。迷うことなんて、下手をすれば食事の回数よりも多い代謝のひとつだと言うのに。ならば今こそ迷えるだけ迷ってみせようと。馬鹿げた時間の使い方に踏み切ったのです。思いつきのような衝動に駆られ、バイクのハンドルに安物の方位磁針を取り付け、それを頼りに北を目指しました。写真を生業にして、あれやこれやと格好をつけ、撮る理由をでっち上げている毎日ですが、その実、つまるところは「僕はここにいた」と伝えたいだけ。何事もなければ、まだ何十年と生活は続いてゆくと信じています。その折々で、「僕はここにいた」 をただ愚直に積み重ねていくのでしょう。この本のように。踏み出せない誰かに、何故か帰りたくない夕方に、太陽がもどかしい朝に、毛布にしがみつく真夜中に、道に迷うあなたに。そして天国にも届くよう願いを込めて。

ー 小見山 峻

 

 

 

◯ 小見山 峻 | Shun Komiyama

写真家。神奈川県横浜市出身。「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、コンピュータによる合成加工などに頼ることなく、グラフィカルな世界を建築する。2018年JWアンダーソン主催の“YOURPICTURE/OURFUTURE”にて日本人で唯一ファイナリストに選出されるなど、海外からの注目も集め、同年に初の写真集 「hemoglobin」を出版。主な個展に同名の「hemoglobin」、「冴えない夜の処方箋」、KYOTOGRAPHIE KG+「なにものでもないものたちの名づけかた」など。2021年に渋谷PARCO10F屋上スペースを全面的に使用した大規模インスタレーション展示「風が応える」を開催するなど、常に「写真」でありながら、そのアウトプットは多岐にわたる。

web : shunkomiyama.com instagram : @shun_komiyama

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