PAST EXHIBITIONS
Past Exhibition
2019. 8 / 9 sat. ––– 2019. 10 / 25 sun.
11:00 – 19:00 Close ( Tue )
三谷 直樹 | Naoki Mitani
[ Trace of Motion ]
この度、hakukyotoではグラフィックデザイナー三谷直樹の個展を開催いたします。
機械に頼らずに人間の手で美しい線を描くことには特別な修練が必要であり、ましてその線に滑らかで豊かな表情を求めることには限界がある。
一方、人間の身体の動きは、意識せずに美しい線の軌跡を生み出すことがある。とくに鍛錬を積んだ人間の肉体が描き出す運動の軌跡は、その肉体の持ち主が目指す目的が別にあったとしても、洗練された美しさを描き出す。
本作は、とくにスポーツに焦点を当て、アスリート達が美しい軌跡を生み出す過程に着目し、綿密にデータを収集した上で、厳選された線を構築しようとするものである。そこにはスポーツを暗示する具体的なイメージが介在しないために、鑑賞者は純粋に線の美しさを享受し、その軌跡を追うことにより肉体の動きを想起する。また、一枚の画面に時間軸を封じ込めた曲線は旋律を伴い、紙面の余白に心地よい余韻を生み出している。
グラフィックデザインの諸要素の根源を見つめ直す意欲的な作品である。
より速く、より効率的に、より美しく。スポーツの世界ではほんの少しの動きのズレが勝敗を分けることがある。そのためアスリート達は指先にまで神経を尖らせ、一寸の狂いもない洗練された動きを目指している。その動きは肉体の持ち主が目指す目的が別にあったとしても、滑らかで芸術的な軌跡を描き出す。本作では動きの軌跡を抽出し、洗練された線によって出来上がるカタチを時間軸とともに一枚の画面に封じ込めた。そこにはスポーツを暗示する具体的なイメージが介在しないために、鑑賞者は純粋に線の美しさを享受し、その軌跡を追うことにより肉体の動きを想起する。そうすることで、「スポーツの美しさ」を再認識することになる。制作にあたって、平面の世界ではモノのカタチはモノの輪郭と考えた。そこで、運動の輪郭を「手先足先の軌跡」と捉える。よって、運動のカタチとは映像から「手先足先の軌跡」を取り出すことで描くことができる。線の強弱は動きの速度を表し、速い部分は細く、遅い部分は太くなっている。また、スポーツの種類によってトレースする部位を変更している場合がある。例えばシンクロナイズドスイミングの場合、両足を演技として見せているときは両手は水中にあり、その両手の動きは採点の基準にならない。よって、この場合は足先のみをトレースする。そして、野球やテニス等の道具を使うスポーツの場合、道具の先端がトレース部位の一つとなる。
The Movement of the human body is beautiful. This work focuses on sports, with the objective of showing the axis of bodily movement to underscore that beauty.
From painstakingly accumulated visuals, I tracked the athletes’movement, then, using refined lines, I created these shapes. Viewers are attracted to beauty that has no specific images, and when they have read and understood the explanation, the lines begin moving, and the viewers are able to once again realize the beauty of the physical body’s movement.