PAST EXHIBITION
新城 大地郎 | Daichiro Shinjo
solo exhibition
「 吽 」
2023. 2 / 1 wed ––– 2 / 19 sun
OPEN 11:00 – 19:00
fri / sat / sun
Past Exhibition
この度、新城 大地郎による展覧会をhaku ・kokyu ・光明院の三ヶ所で開催いたします。幼少期から書道に親しんでいた新城は、2017年より書を軸とした作品を発表し続けています。伝統や歴史を重んじながらも、世の中の普遍性に自問自答を繰り返し、言葉や文字を使いながらも書道の枠にとらわれない作品を創作しているアーティストです。
kokyu では、初期の作品である英字新聞の上に描いた作品や、彼自身の作品を解体・再構築したコラージュ作品といった過去に発表した作品を展示しています。彼の作家としての変遷を見る機会にもなっています。
haku では、主に「阿吽」という禅語をモチーフにした作品を発表します。昨年10月に東京・隙間ギャラリーで行われた公開制作・展示の際、彼は数日間に渡り半面ガラス張りの可視化された室内で制作過程を公開し、見る-見られるという環境での創作を試みました。普段はスタジオでひとり作品と向き合っていますが、他者や社会と身体的に関わりを持つことで、変化していく意識の所在について探求します。 「阿吽」という言葉は、よく息が合わさった際に使われますが、禅語においては物事の根源と帰着を(万物の初めと終わり)意味します。彼がこの言葉を選んだ背景として、公開制作の時間を重ね、主体性を自らで揺さぶりながら刻々変化する瞬間に、「只ひたすらに今存在している」、という自己の存在認識から発した言葉と言えるでしょう。あらゆるものが顕在化した空間の中で落とし込まれていく実在への問いの反復は、非論理的で抽象的な禅問答となって投げかけているように感じられます。
東福寺塔頭・光明院で行わている展示『DARUMA 60 seconds sereis 2023』(Freedom dictionary 主宰)ではインスタレーション作品を発表しています。白隠や仙厓の書画で知られる達磨大師は、彼がこれまでにも文字以外で頻繁に制作しているモチーフです。今回展示されている「1作品60秒内」という条件を自ら課した22点の連作は、いかに作為を消し、即興的に表現できるか試みたドローイングシリーズです。禅僧である祖父を持ち、幼少期から禅や仏教文化に影響を受けて育った新城ですが、彼にとって特別な存在でもある寺院空間での展示に際し「言葉は書けなかった」と話し、作品を簡素な状態で晒した展示空間には、寺院での表現に対する葛藤や、意識と無意識の間に揺れる精神の動きを見ることができます。彼自身が「達磨の面をした現在の自画像だ」と言うように、今度は自ら描いた達磨に見る–見られる関係を発生させ、さらに自己を見つめた問いをこの展示では連続して見ることができます。
禅問答のように自らに問いをたてることで、書く行為を表現へと繋げ、瞬間の意識や感情を切り取り書き留めている彼の作品と向き合う時、文字や言葉、絵といった決められた枠の中で見るのではなく、人それぞれが自分自身の感覚や意思に正直に見ていただきたいです。いつの時代もどこでも変化や多様性はありますが、物事を鵜呑みにするのではなく、疑いや意志を持って向き合うことが必要です。3つの会場を巡る中で、各々が自らの問いや答えを見つける機会になることを期待しています。
囚われずに今この瞬間自己がどこにいるのか。吽、と立ち止まって足るを知れるか。
◯ 新城 大地郎 | Daichiro Shinjo
1992年沖縄・宮古島生まれ。静岡文化芸術大学卒。禅僧であり民族学者でもある祖父を持ち、禅や仏教文化に親しみながら幼少期より書道を始める。禅や沖縄の精神文化を背景に現代的で型に縛られない自由なスタイルで、伝統的な書に新たな光を当てている。オールドファッションな書道を飛び越え、形式にとらわれない軽やかで、身体性、空間性を伴ったコンテンポラリーな表現を追求する。「tricot COMME des GARCONS」21AWに作品が起用、2021年「HERMES」制作のドキュメンタリーフィルム「HUMANODYSSEY」に出演。2017年10月Playmountain Tokyoにて初個展「Surprise」、2018年 TRUNK HOTEL ロビーのインスタレーション、UNTITLED ART FAIR 2020 (サンフランシスコ)、2021年12月「JINEN」UNION SODA(福岡)など。2022年5月に写真家・石川直樹と共にディレクションを務めるギャラリー「PALI GALLERY」を宮古島にオープンした。
Instagram : @daichiro_
◯ 3 会場 同時開催
他会場情報
kokyu kyoto
2023 / 2 / 1 fri - 2 / 19 sun
OPEN 11:00 - 19:00
fri / sat / sun
東福寺塔頭 光明院
2023 / 2 / 1 fri - 2 / 26 sun
OPEN 7:00 - 日没時間
年中無休
2023年 2月1日(水) 19:00~ オープニングレセプション
会場:haku kyoto
作家在廊
飲物 : TAREL