CURRENT EXHIBITION

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​「 縁をツギつキテ纒ワルことノ事 」
馬場 晋作 | BABA Shinsaku

2022. 10 / 21 ––– 11 / 7

OPEN 11:00 – 19:00
fri / sat / sun / mon

Current Exhibition

この度、haku kyotoでは馬場 晋作による展覧会「縁をツギつキテ纒ワルことノ事」を開催いたします。馬場は、絵画から写真を用いたコラージュなど様々な方法・支持体・メディアを用いながら、絵画の方法論を展開しています。その中でも近年、絵画の歴史や構造化、その周縁でおこる物語に着目して、制作を行なっている作品から本展では2つのシリーズの新作を発表します。

 

1つは、インスタレーション作品の《棚とフレーム|隙間と転換》です。本作を2021年に発表した際は、東京国立近代美術館の所蔵作品リストの一部を元に制作していました。今回は、京都国立近代美術館の所蔵作品リストを元に制作した作品となっています。会場壁面に並んだ数字は、所蔵作品のリストナンバーであり、「油彩その他」に分類されている750点のうち37点が「管理替」として、何かしらの理由で他の美術館·博物館等の施設から京都に移動してきた作品と記録されています。その作品の情報(制作年·作家·作品名·サイズ)から何が見えてくるのでしょうか。日本の歴史や美術史の流れから見える美術館·博物館の収蔵作品、それらの移動という出来事が、各時代の作家たち、それを収蔵·管理した人々、鑑賞した人々、それぞれの時代の物語を、そしてこの転換によってどこかの棚に生まれる隙間を、想像させてくれることでしょう。

 

もう一つの作品シリーズ《縁をツギつキテ纒ワルことノ事》は、絵画の木枠に関する物語に着目し、実際の出来事をリサーチしながら、彼が過去の作品の木枠や画家、木枠を作った人々に想いを巡らせながら制作されています。絵画作品を支える様々な材料の中で、キャンバスや木枠など絵を支える構造は「支持体」と呼ばれています。絵が描かれてきた歴史と同じだけ、支持体にも長い歴史があるはずだと、彼は思考しリサーチを行いました。その中で、日本においても西洋画の輸入に伴い、キャンバスと木枠も輸入·生産されたはずだと彼は注目し、物語を読み解いていきます。西洋画を学び取り入れていった日本の画家たち、洋画材料というものが日本で作られ始めた時の商人や職人たち、様々な人たちの想いが絡み合い、現代でも人々が鑑賞している油彩画が描かれ続けられています。本シリーズの作品では、実際に異なる種類の木材を組合わせて作られた木枠を繋ぎ合わせ、重ね合わせ、撮影したり、描いたりすることで、多重なレイヤーを生み出しています。これらの作品から、過去から現代まで絡み合ってきた様々な物語に想いを馳せていただけると幸いです。

 

近年、日本国内でもギャラリーや複合的な展示スペースが増え、アートシーンやマーケットの盛り上がりが見て取れます。その中でも多くの人に親しまれている絵画は、ほとんどの場合、作品やアーティストたちに注目が集まります。このような時代だからこそ、木枠を含め絵を描くための材料があり、それらを生産しアーティストたちを支えている人々によって、今では当たり前となっていることが当たり前にできるまでの歴史や変遷が紡がれていることにも目を向けていただきたい。本展覧会で絵画とその周縁にある物語に触れ、再認識することで、絵画の見方の別の側面が立ち現れてくることが、鑑賞者やアーティストたちにとっても意義深い体験となることを期待しています。

 

 

 

◯ 馬場晋作 | BABA Shinsaku

 

1978年京都生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了、2011年京都芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程を修了。近年の主な展覧会に「fringe and fringe 縁と前髪」(成安造形大学【キャンパスが美術館】, 滋賀, 2021)、個展「状況と転換」(青春画廊, 京都, 2019)、「めぐれ!つながれ!色とかたち。ワイワイわれらのモダニズム」(成安造形大学【キャンパスが美術館】, 滋賀, 2017)、「どこにもない新しい場所 -Nowhere but Somewhere New-」(西武渋谷店美術画廊, 東京, 2016)、「自然学|SHIZENGAKU~来るべき美学のために~」(滋賀県立近代美術館, 滋賀, 2012)など、京都・滋賀を拠点に活動。「THE GATE HOTEL 京都高瀬川」などコミッションワークも多数。その他、展覧会企画や地域社会と連携するアートプロジェクトに関わるなど、活動の幅を広げている。

 

鏡を支持体に透明なメディウムを用いた絵画、日常品やそれらに関わる道具を転換·再配置し、その情景を繰り返し撮影するコラージュ的な手法など、様々な支持体·メディアを用いながら、絵画の方法論を展開し続けている。最近作では、絵画の歴史や構造化、またその周縁でおこる物語に着目。ある枠組みの生成に伴う誤解や歪み、物理的な移動によってできるズレと隙間、そこでごく自然に行われる事象の転換や枠組みの再構築、またそれらの重なり自体に関心を寄せている。